ドローンは禁止されがち
2015年ごろからボクらの周りをひんぱんにドローンが飛び始め、それと同時に、ドローンは禁止されていった。
いちいち断るまでもないあたりまえのことだが、正しく使えばドローンはとても良いものである。
しかし、普及しはじめた矢先、人混みの中で・許可なく・危険な操作や撮影をおこなうトラブルが立て続けに発生し、ドローンは悪いものというイメージが生じてしまった。
悪いものは禁止されがちになる。
そして、世の中に禁止されているものはいくつもある。
喫煙禁止・立入禁止・ゴミ捨て禁止・駐車禁止・撮影禁止・飲食禁止・歩きスマホ禁止・駆け込み乗車禁止・犬のフンの放置禁止……。
市民権を得た禁止の表示については、シンプルなアイコン(ピクトグラム)により、端的に表現され、周知され、意味付けされる。
ドローン禁止はまだ一般化されきっていないので、いまはまだその禁止表示はカオスな状態である。
回転翼(プロペラ)、カメラ、本体。
その3つが揃っていればドローンなのか。
ドローンがドローンたりうる境界線はどこにあるのか。
ドローンの絶対値を見極めたい。
ドローン禁止がこの先どのような形で世間一般の共通認識となり、どのような形に収斂してゆくのかとても興味がある。
だからずっと観察しているのだ。
※各イメージに付記した得点は、おふざけです。
★ほぼ満点
ドローンというものをよく一般化・抽象化できていると思う。
プロポ(操縦機)を描き添えるのはうまい。
禁止したいのは、ドローンという存在ではなく、そのドローンを操る人間の側なのだ。
ピクトグラムとしてまだこなれていないがゆえに単体ではそれとわかりにくいドローンだが、操縦者=プロポを持つ人間との主従の関係が透けて見える。
それによって危険な操演に自覚的になるよう促すこともできるし、操られているドローン本体の危険性も浮かび上がる。
赤丸NOバツの手前側に大胆にはみ出させて、赤い斜線で絵を隠してしまわないよう(分かりづらくなるのを避ける配慮を)してあるのも高評価。
★40点くらい
シンプルなのはとてもいい。
とてもいいんだが、シンプルすぎるがゆえにドローンであることが伝わりづらい。
プロポとの位置関係も接近しすぎて一体化しており、先に述べたような主従関係がつかみづらい。
プロポが工場(アンテナが煙突)のように・ドローンがバルンガのように見える。
もしくは、『天空の城ラピュタ』でシータが幽閉された尖塔のさきに駐機するゴリアテ(ムスカの乗る飛行戦艦)に見える。
見えない……?
★いらすとや補正こみで、75点かな
おそらく、まだドローンが出始めた頃に描かれたものではないかな?
ちょっと“描きすぎ”ているように思う。
要素が多くて整理されておらず、うるさい。
いらすとやさんならもうちょっとなんとかしてほしいような……。
モノカラーにするとごちゃつきさ加減がきわだつ。
いらすとやさんでもうひとつあった。
こっちはかなりこなれてきていると思う。
★30点だけど、可愛いから倍の60点にしちゃう
これだけたくさん禁止する事項があると、ひとつひとつ確かめるのも苦労する。
だからこそ、パッと見てすぐにわかるようなドローン像が求められると思うのだけど……、
わはは。
両手で皿回ししているカービィみたい。
可愛いんだけどね、なんのこっちゃ感はある。ドローンには見えないなぁ。
★わりと好き。90点
こちらも禁止事項もりだくさん系。
カメラを横向きにしたことではっきりそれとわかるようになり、プロペラの翼のひねり/ねじれが端的に示されている。
仮にドローンというものの存在を知らなかったとしても、「プロペラで飛行するカメラ」という意味は伝えることができている。
秀逸。
★うーん、40点かな
もりもり禁止。
「ドローン(DORONE)」て書いちゃってるからね。
けっこうちゃんとドローンなのに、伝わるかどうかが不安で弱気になっているのが透けて見える。
★誠意は感じるが30点どまり
外形をなぞって正確に機体を描いているのだろうが、回転翼などの配置に「商品見本写真をトレースしました」っぽさが残っており、ドローンをよく知る人にしか伝わらない危うさを秘める。
単純化・類型化しきれておらず、ピクトグラムとして分かりやすいとはいえない。
★かっこいいじゃん80点
リアルでもあり、適度に省略もされており、良いバランスでまとめられている。
うるさ型を黙らせるディテールの正確さと、ごちゃごちゃ描きすぎないですっぱりシンプルに整頓したところと、絶妙。すごくいい。
★けっこう頑張ってるけど、45点
惜しい。
赤バツがなければ(手前にあって、全体像が見えていれば)シンプルな形状で、かなりいいドローンだと思う。
カメラのレンズの白抜きマルによって「撮影している・見ている・監視している」という圧をもうすこし醸し出せていれば、この場所でドローンを使うことへの嫌悪感みたいなものを強められたと思う。
★15点がいいとこでしょ
写真だ。
上から文字が重なっているせいで、ただでさえ見慣れない形状の機体がますます見えづらく、全体の形がわからなくなっている。
空らしき背景に浮かんでいる翼やプロペラがある物体、ということはおぼろげにわかるけど、けっきょく「ドローン」という文字に助けられている。
こんな写真なら使わないほうがましだ。
★気圧されて55点
劇画調のタッチで、なんとなく昭和の香りもただよう。
なんともいえない迫力のある画じゃありませんか。
「△」+「!」は注意を促す記号。
「Attention!」と呼応しているので矛盾はないが、「!」がドローンより前にきていて、絵柄を隠しているのがちょっと残念。
★プラス15点で計70点
あ、元はこっちか。さっきの写真とも同じ形の機体だ。
イラストになるとすっきりしていて見やすい。さじ加減だな。
★なんじゃこりゃ5点
こりゃ酷い。
ちっとも飛びそうにない機体だし、ぬるーんとした靴の中敷きみたいな本体に、どこから何を撮影しているんだかちっともわからないカメラのレンズ。
色も緑でなんとも奇妙。
★おまけ
ドローンはせっかくとても良いものなのに、このまま禁止されるばかりだと淋しいなぁ……、と思って描いた風刺漫画。
自分で描いておいてなんだけど、この絵の中のドローン禁止看板は、あまり良い出来じゃないね。
失礼いたしました。